幸い、アネットはそう遠くまで行ってしまったわけではなかった。
交差した廊下の、角の壁に背を預け、小さな子供みたいにふてくされた顔をしている。
「……もういい。ほんとに、最後に喧嘩した時のことなんて全然覚えてないみたいだから」
レーナが近寄ると、こちらを見ないまま拗ねた口調で吐き捨てた。
「あたしはシンを助けてあげられなくてそれがずっと辛くて、でも、それは少なくとも今のシンにとっては大したことじゃなかった。あんなどうでもいいことのが、まだどうにか記憶の端っこに残ってることだった。だったら今更、……思い出してもらわなくてももういいわ」
86─エイティシックス─Ep.4 ─アンダー・プレッシャー─ 安里アサト
Could you please explain why ことのが is used there? How should I understand this phenomenon? I don’t feel の is needed. Isn’t ことが sufficient there?